上田久美子の挑戦…宝塚歌劇団において歌わせないという選択の是非

宝塚考察



昨日、
宙組の『FLYING SAPA』を見て、
内容もさることながら、
ほぼ歌がないというお芝居でした

 

さすが上田久美子先生!
作品を作り上げる際、
歌が邪魔になるという判断だったのか、
どうかはわかりませんけど
「歌なし」のストレートプレイを選択しました

 

その判断は間違えていませんでした

 

さて、
今回はその歌についての是非を、
語りたいと思います

 

ここから先は、
いつも通りの私のメモなので、
いろんな意見があるんだなぁ、と、
ご理解のいただける方のみ、どうぞ!

 

『FLYING SAPA』を見て「歌なし」はアリと思った

ウエクミ先生は、
あくまでも自身の作り上げる世界観に、
歌は必要がないという判断で、
ストレートプレイにしたと思っています

 

『FLYING SAPA』では、
大事な箇所で「歌」を3人が口ずさむ程度

 

そのため、
私が今回語ることとは、
ウエクミ先生の作品の意図とは全くの別物なので、
そこをご理解の上でお付き合いください

 

私が語りたいのは、
歌唱力のない、
あるいは歌が苦手、
得意ではないトップコンビに無理に歌わせる必要がない
ということです

 

以前にも語っています

歌唱力がないなら歌わせないという勇気が名作になる…宙組『神々の土地』の好例

 

ウエクミ先生としては、
「そういう意味ではない!」ということでしょうから、
ウエクミ先生の作品とは、切り離して欲しいということで、
前書きいたしました

 

あくまでも私的に
「歌なしもアリじゃん!」と思ったことを語るだけです

 

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宝塚歌劇団には歌唱力があるトップコンビがいない謎

これが1番大きいことだと思います

 

宝塚劇団なのに、
なぜか歌唱力が乏しいトップスター、
トップ娘役が多く輩出されています

 

いろんなタイプのトップ像がありますし、
5組もあるわけですから当然ですし、
全然いいと思います

 

ダンス、
お芝居、
歌、
ビジュアルやスター性、
これらの組み合わせで、トップスターが誕生します

 

ただ、
なぜか歌の技術を持ったスターが上にあがってこないため、
歌唱力が劣るトップスターが誕生しがちなのも事実
そのため、
歌唱力のあるトップスターには、
一定数存在する、
歌上手支持のファンが殺到しがちにもなります

 

隙間産業ではありませんけど(笑)、
歌唱力を持ったトップスターの存在が少ないため
本来はニッチな部分なのですが、
人気が集中しがちになるという意味です

 

ダンスが上手、
ビジュアルが素敵、という組み合わせが1番多く、
ファンも分散しがちですけど、
歌唱力はほぼ一択状態なので、
安定した人気を得ることが可能なのです
それが集中する要因です

 

これで、
5組中3人が歌唱力のあるトップスターとなれば、
人気は当然分散されるでしょう
存在しないからこそ、
歌唱力に価値が出ているという状態です

 

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トップ娘役も歌唱力が乏しいケース べにきさきの場合

宝塚歌劇団は男役至上主義ですし、
男役あってこその宝塚歌劇団です
当然、トップスターも男役です
それが宝塚歌劇団ですから…

 

そのため、
トップスター育成が何よりも大事となります
トップ娘役は、
あくまでもトップスターとの相性重視なので、
どんなに実力があっても、
涙を飲むケースは多いでしょう

 

トップスターが歌が苦手なのであれば、
それをサポートできる歌唱力のあるトップ娘役が、
相応しいのですが、
劇団にもいろいろ事情があるでしょうから、
なかなかそうもいかないことがあります…(^_^;)

 

近年は、
歌唱力のあるトップ娘役さんが多く輩出されましたが、
一方では、
歌唱力がないトップ娘役さんの存在もあります

 

トップスターもトップ娘役も歌が苦手という、
歌に関しては残念なトップコンビが誕生してしまいます

 

星組の前任であるべにきさきや、
花組のカレー華がコレにあたります

 

べにきさきは、
得意分野が「べしゃり」という特殊なトップスターでしたし、
トップ娘役も特に得意分野がないタイプでしたので、
ここをどうこうするには、
トップスターのキャラクターにマッチしたものしか似合いません
本当に、特殊な事例です
ここまで特殊なのもそうそうないので、
本当に特異な事例でしょう

 

カレー華の場合

その一方で、
カレー華カレーくん(柚香光さん)のダンス力と、
華ちゃん(華優希さん)の演技力が魅力であり、
2.5次元の再現力が凄まじいトップコンビです

 

つまり、
「お芝居」に非常に向いている
トップコンビということになります

 

カレーくんの演技力が特出していなくても、
見た目のなりきり度の高さだけで、
十分表現力はあるでしょう
華ちゃんに関しては、演技力がある方なので問題なし

 

問題である歌は、
歌わなければいいだけのこと

 

たまたま事例としてカレー華をあげていますけど、
こういうトップコンビは過去にもたくさんありました

 

問題なのは、
歌唱力がなくても、
これでもかと歌いまくられるということ

 

これがいけません!

 

トップスターとトップ娘役は、
1番歌う立場なので、
トップスターや、
トップコンビの熱心なファンの方以外には、
苦痛でしかないからです

 

この辺りを無くすには、
もはや歌わないという選択しかないわけです

 

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歌唱力のないジェンヌの魅力を引き出す上田久美子作品

上田久美子先生は、
非常に面白いことに、
過去の脚本・演出作品は歌唱力が乏しいジェンヌさんが、
主要キャストを務めています

  • 月雲の皇子
  • 翼ある人びと
  • 星逢一夜
  • 神々の土地
  • FLYING SAPA

上記の作品は、
歌唱力が乏しいジェンヌさんが、
主人公かヒロインに抜擢されている作品です

 

これまでであれば、
『金色の砂漠』くらいではないでしょうか
かのちゃん(花乃まりあさん)は歌上手ではありませんでしたが、
主人公のみりおくん(明日海りおさん)が歌えるトップスターでしたし、
この頃の花組には歌える人が多かったです

 

たまたまの持ち回りなのでしょうけど、
こういう歌が苦手なジェンヌさんの持ち味を、
お芝居で最大限に魅力を引き出せるというのが素晴らしいです

 

無理して歌わせない、ということの大切さもわかります

 

特に、
『神々の土地』のヒロインには、
全く歌わせなかったのは英断です

 

『FLYING SAPA』に至っては、
歌が全く必要がないという終着に落ち着きました
トリデンテのうち2人は歌えるにもかかわらず、です

 

そして、
その反動からかはわかりませんけど、
ウエクミ先生がとなる、
歌えるトップコンビを手掛けます

 

この辺りを語りだすと、
脱線してしまうので(笑)、
ここまでにしますけど、
座付き作家である以上、
持前の魅力を引き出すことが大事だと思っています

 

ウエクミ先生は、
割と作品寄りになりがちなので、
ジェンヌさんの魅力を引き出しているのか、
という部分では評価は難しいのですが、
自身の世界観に、
上手にジェンヌさんを落とし込んでいく
という部分には、
間違いなく長けていると感じます

 

観客にとっての1番のストレスは、
無理して歌われることです
熱心なファンの方以外には、苦痛でしかないからです

 

歌わせないという結果、
お芝居に集中でき、
欠点である歌唱力を払拭させることができています
歌がないという寂しさよりも、
作品の力が増している状態でしょう

 

これも大事なことだと思います

 

以前にも語りましたけど、
歌が苦手なトップコンビに、
無理して歌われる必要はありませんので…

 

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